飲食店の「週休2日」は可能なのか。定休日の決め方と注意点
2025年4月3日
画像素材:PIXTA
飲食店の店休日といえば週に1回程度が一般的で、「年中無休」という店も少なくありません。しかし一方で「週休2日」という店も増えてきています。今回は、飲食店で週休2日は可能か、メリットは何か、デメリットとその対策などについて解説します。
「店休日2日」の飲食店は少しずつ増えている
店休日を週に2日設けている飲食店は増えているようです。たとえば、週末の人出が減るオフィス街の飲食店では土日が休業、駅前商店街の飲食店では月火が店休日などです。その背景には、働き方改革の流れと労働力不足があります。スタッフ確保のため、そして採用して長く働いてもらうためには、スタッフが週2日、きちんと休みをとれる就業環境の整備が大切になります。そのためにも、店を週休2日とすることは有効な手段のひとつです。
飲食店で週休2日にするメリット
飲食店を週休2日にすることによるメリットを整理します。
■スタッフ確保がしやすい
スタッフ募集のとき「週休2日」とうたっていても、年中無休の店舗ではシフトの関係上どうしても出勤をお願いしなければならない日が出てきてしまうことがあります。店自体が週2日休みであれば従業員も確実に休みがとれるため、新規採用がしやすく、かつ、従業員の定着率も上がります。
■店主も休みが確保できる
スタッフが急に休んだ場合に店主がシフトの穴を埋めるというのは飲食店においてよくあるケースです。しかし店休日があれば確実に休みをとれるため、店主自身も健康管理しやすく、店の経営が持続可能になります。
■モチベーションやサービスの向上
週休を確保することで従業員は心身のリフレッシュができ、仕事へのモチベーションが高まります。また、店主は経理処理やレシピ開発などの時間を確保しやすくなります。結果として、飲食店の品質向上に寄与します。
■利益率向上
週末の人出が少ないオフィス街の飲食店、平日の集客が弱い住宅街の居酒屋など、売上が少ない曜日が決まっている場合には、その曜日を店休日にすることで利益率が向上することがあります。
飲食店で週休2日にするデメリットとその対策
一方で、週休を2日設けることのデメリットもありますが、いくつかの対策も考えられます。
■売上の減少
デメリット:稼働日が減るため、売上減少のリスクがあります。
対策:集客力の高い立地に出店する、定休日を活用して「間貸し」を行うなどで休日を有効活用する手段も考えられます。
■顧客満足度の低下
デメリット:顧客が期待するタイミングで店が開いていない場合、不満につながる可能性があります。
対策:SNSなどを活用し、定休日に関する情報を積極的に発信することで、顧客の理解を促すよいでしょう。
売上減少というデメリットについては、平日・休日問わず集客力のある繁華街に出店した場合には無視できません。こうした店舗は賃料も高いので、それに見合う売上を上げることが不可欠です。
年中無休で営業するためには、従業員の給与を高い水準に保ち、人材を確保した上でスタッフが週2日の休みがとれるようシフトを組む必要があります。しかし先述したように、オフィス街や住宅街の店舗などで集客が少ない曜日があれば、その日を定休日とすることの売上減少よりもメリットのほうが多いこともあるでしょう。また、店の稼働率と売上を上げるために店休日を「間貸し」する方法も近年では一般的になっています。
また、近年は顧客の側も店休日が週1日または2日設定されていることに慣れ、抵抗感がなくなってきています。店の側はLINEやInstagram、XなどのSNSで他の情報とともに店休日についての発信に努めることにより、顧客の共感と理解を得ることができるでしょう。SNSを介したコミュニケーションで固定ファンをつかみ、店休日を固定せずに不定休で営業している飲食店の例も増えてきています。
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おさえておきたい労働時間のルールとは
飲食店が週休2日にすることは、従業員を確保するという点で大きなメリットがあります。合わせて従業員の労働時間のルールについても改めて確認しておきましょう。
従業員の労働時間については労働基準法により、1日8時間、週40時間までと定められ、これを超える場合は25%を割り増しした残業代を支払う必要があります。休憩時間は6時間以上では45分、8時間以上では1時間を設定します。また、小規模な飲食店(常時10人未満の労働者を雇用する)は特例措置の対象となり、週40時間の規定を週44時間までとすることも可能となっています。しかしスタッフ確保という観点から、特例措置の適用は避けるべきでしょう。
求人広告を出すときは、「完全週休2日制」とすることで人材が集まりやすくなります。完全週休2日とは、毎週2日の休みが確保されていることです。
店を週休2日にすれば、研修や福利厚生も充実
従業員にとって働きやすい職場をめざすなら、個人経営の店舗にとって、週休2日は有力な選択肢です。さらに、営業日以外の日程で従業員向けの研修を実施したり、福利厚生の一環として社内イベントを行ったりすれば、従業員のエンゲージメントがさらに向上するでしょう。(もちろん、休日に研修を行ったら従業員には営業日に交替で休みをとってもらいます。)週休2日にするかを迷っている方は、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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