食中毒の35%は冬に起きる! 徹底すべきノロウイルス予防・対応策6ヶ条
冬の天敵ノロウイルス。今こそ予防策を見直そう!
乾燥しやすい冬。抵抗力が弱まる季節なので、従業員が風邪やインフルエンザに罹らないよう注意している飲食店は多いのでは。
冬場に流行するもので、忘れてはいけないのがノロウイルス。食中毒といえば梅雨や夏の時期に発生するイメージが強いが、年間食中毒患者数の35%は11~2月の冬の時期に発生している。その大半がノロウイルスによるものである。
ノロウイルスはウイルス性胃腸炎の総称である感染性胃腸炎の一種。今回はこのノロウイルスの感染予防策と感染後の対応策についてまとめてみた。寒さが本格化するこの時期に、予防・対応策をしっかりと見直そう。
【ノロウイルスの感染経路】
ノロウイルスの感染経路は主に2パターン。この感染ルートによって、ノロウイルス食中毒とノロウイルスによる感染性胃腸炎の2つに区別されているが、両者の症状や回復期間に違いはない。
1、食品からの感染(ノロウイルス食中毒)
・感染者が調理し汚染してしまった食品を食べた場合
・ウイルスが蓄積した加熱不十分な二枚貝や牡蠣を食べた場合 など
2、人からの感染(ノロウイルスによる感染性胃腸炎)
・感染者の便やおう吐物を触れた手などを介して二次感染する場合
・家庭や施設内での飛沫によって感染する場合 など
【ノロウイルスの予防策】
まずはノロウイルスが発生しないような環境づくりが大切。そのためには清掃や調理の基本をしっかりと守っていかなくてはならない。
1、きちんと石けんで手洗いをする
洗う頻度は「トイレに行った後」、「調理施設に入る前」、「料理を盛り付ける前」、「次の調理作業に入る前」など小まめに心がける。汚れの残りやすい、指先・指の間・爪の間・親指の周り・手首・手の甲を隅々まで洗う。
2、加熱して食べる食材は中心部までしっかりと火を通す
二枚貝などノロウイルス汚染の恐れのある食品の場合、ウイルスを失活させるためには、中心部を85~90℃で90秒間以上加熱することが必要。
3、調理器具や調理台は消毒して、いつも清潔にする
まな板・包丁・食器・ふきんなどは使用後すぐに洗う。熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱消毒が有効。
4、調理する人の健康管理に気を配る
症状がある従業員には食品を直接取り扱う作業をさせないようにする。また、症状があるときに、すぐに責任者に報告する仕組みづくりを徹底させる。
二次感染を防ぐための対応策とは?
【従業員およびお客様に、ノロウイルスの疑いがある場合の対応策】
店内にノロウイルス感染者がいると考えられる場合は、二次感染を防ぐための対応が必要となる。従業員やお客様に感染の疑いがある場合は、落ち着いて正しく行動することで被害拡大を抑えよう。
1、食器・環境・リネン類などの消毒
・感染が疑われる人物が使用したもの、またはおう吐物が付いたものは、他のものと分けて洗浄・消毒する
・食器等は、食後すぐ厨房へ戻す前に塩素消毒液に十分浸し消毒する
・カーテン、衣類、ドアノブなども塩素消毒液で消毒を忘れずに
・洗濯するときは、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、よくすすぐ
2、おう吐物の処理
感染が疑われる人物のおう吐物は次の方法で速やかに処理し、二次感染を防止しよう。
a.使い捨てのマスクやガウン、手袋などを着用
b.ペーパータオル等で静かにふき取り、塩素消毒後、水拭き
c.拭き取ったおう吐物や手袋などは、ビニール袋に密閉して廃棄(その際、できればビニール袋の中で塩素消毒液に浸す)
d.しぶきなどを吸い込まないようにする
e.処理後、丁寧に手を洗う
この時期は従業員のインフルエンザや風邪対策に加えて、ノロウイルスによる感染対策を徹底させることが飲食店にとっては必要不可欠である。従業員全員が正しい対応をできるように店全体で取り組むことで、目に見えない敵に打ち勝ち、安心してお客様が過ごせるようにしてほしい。