2015年で最も飲食店の出店が多かった街は? トップ20を発表!
首都圏では新しい飲食店が続々とオープンしている。特に2015年は清澄白河や奥渋谷といった地域に注目が集まっていたが、実際のところ出店数はどれぐらいだったのだろう? ここでは「飲食店.COM」で保有するデータから、飲食店のオープンが多かった駅のランキングをご紹介するとともにその傾向について解説する。
※ランキングは「飲食店.COM」で保有する飲食店データを元に集計。
集計期間:2015年1月1日~2015年12月31日
対象地域:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
■駅別オープン数ランキングTOP20
断トツの1位は渋谷駅
1位は渋谷駅。2014年に続き、2年連続の1位だ。しかもオープン件数は断トツ。2位の恵比寿駅を大きく引き離しており、安定的な人気ぶりが窺える。
渋谷駅周辺の大きな動きとしては、「マルイシティ 渋谷」の跡地に「渋谷モディ」がオープンしたこと。これはマルイグループが新しく立ち上げた商業施設で、アパレル・雑貨店が揃うほか、“知的商業空間”をコンセプトに企画されたブックストアや高級カラオケ店も軒を並べる。
もちろん飲食店もバラエティー豊かな店舗がラインナップ。ミートパイや惣菜パイを販売する『パイフェイス』や、ミラノの老舗ピッツェリア『スポンティーニ』など、手軽に食べられる商品を売りにした飲食店がズラリと揃う。また、牡蠣をカフェ感覚で味わうことができるオイスターバー『GUMBO&』もオープン。20~30代前半をターゲットに、オシャレで斬新な牡蠣料理を提供している。
「渋谷モディ」がオープンした公園通りのあたりは、近年は停滞気味な印象も受けていたが、新たなランドマークが誕生したことで人の流れも変わるはず。また、冒頭で挙げた奥渋谷エリアも、『フグレントウキョウ』といった人気店を中心に独自のカルチャーを作りつつある。今後もこだわりのある小規模店の出店が続いていくだろう。

Photo by Kentaro Ohno「六本木のイルミネーション」
一人飲みブームを意識した店づくりをおこなう店舗も
次いで2位にランクインしたのは恵比寿駅、そして3位は新橋駅という結果に。
恵比寿駅で注目したいのが、日本料理をモダンにアレンジして提供する『gozzo』だ。赤坂の人気店『TAKAZAWA』の高澤義明氏が監修する新店で、オープン前から大変な注目を集めていた店舗だが、その実力は噂通り。手頃な価格で高澤氏の感性を味わえるとあって、連日多くの客で賑わっているようだ。
一方、新橋駅は、JR上野東京ラインの開通によって新たな人の流れができた。埼玉県や神奈川県方面に電車一本で帰れるという利便性が生まれたので、新橋駅周辺の飲食街は、より一層の盛り上がりを見せている。
そして4位には横浜駅がランクイン。横浜駅周辺の大きな話題といえば、駅に隣接する「ザ・ダイヤモンド」が「相鉄ジョイナス」と統合し、大規模リニューアルしたこと。レストランエリア「ジョイナスダイニング」には、カウンター席が大量に設けられており、買い物帰りや通勤通学帰りの一人客も利用しやすいよう工夫されている。これには、近年の“一人飲みブーム”も影響しているのではないだろうか。
5位は六本木駅。最近の話題の新店といえば、トレーニングジム『トータル・ワークアウト』出身の店長がオープンした『筋肉食堂』だ。筋肉を育てることを目的とした高タンパク&低糖質の料理が特徴で、周辺でジム通いしている人、また糖質制限ダイエットをしている人からも絶大な人気を集めている。
また、精進料理をカジュアルにアレンジして提供する『shojin 宗胡』も話題だ。店をプロデュースするのは神谷町の有名店『精進料理 醍醐』で料理長を務めていた野村大輔氏。スタイリッシュな空間で供される滋味深い精進料理は、外国人観光客からも好評だという。

Photo by Tatsuo Yamashita「原宿なう」
大人を意識した店舗が増えている原宿エリア
6位は池袋駅。2014年の3位から少しランクダウンした恰好だ。池袋といえば「サンシャインシティ」が有名だが、現在、展望台のリニューアル工事が進んでいる。この春には完成するとあって、これにより人の流れがどう変化するか注目である。
そして7位にランクインしたのが明治神宮前駅。原宿駅、表参道駅からも近いこのエリアでは、2015年10月に「カスケード原宿」という商業施設がオープン。ターゲットは“原宿・青山エリアで働く大人”としており、開放感あふれる空間に、焼肉『KINTAN』をはじめとしたこだわりの8店舗が並ぶ。若者の街としてのイメージが強いこのエリアだが、大人を受け入れられるように少しずつ変化を遂げているのが最近の特徴と言える。また『ドミニク・アンセル・ベーカリー』といった海外発の有名店が出店したのも大きな話題となった。
ランキングの傾向を見ると、やはり主要ターミナル駅への出店が目立つ。しかしその中でも、たとえば渋谷では手軽で話題性が高いメニューを、そして恵比寿では食材や味にこだわった本格メニューを主役とする店舗が多く、どの出店者も駅利用者の特徴を見極めたうえで開業していることがわかる。
地域によってニーズが異なるのは当然だが、そこを見極めつつ、かつ個性を打ち出していくことが出店の基本。今年、新たに出店を計画している方は、その辺をしっかりと練り上げたうえで挑戦したい。
