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2025年外食トレンドを飲食店経営者約300人が予測。注目は「高級食べ放題&ワンオペ営業」

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株式会社シンクロ・フードは、飲食店ドットコム会員を対象に、2024年のニュースや2025年の食トレンドに関するアンケート調査を実施した。今回は、アンケート調査の回答結果とともに、回答者のコメントを紹介する。

■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:297
調査期間:2024年12月9日~2024年12月15日
調査方法:インターネット調査
※詳しい調査結果はこちら

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2024年最も印象に残った出来事は「円安・物価高騰」

まず、「飲食店経営者として、2024年のニュースで最も印象に残ったものは?」と聞いたところ、「円安・物価高騰」が40.1%でトップとなった。「令和の米騒動」が26.9%、「過去最大の最低賃金アップ」が13.8%と続き、仕入れや人件費に直結する内容が上位を占めた。その後は、「新紙幣の発行」が7.4%、「過去最高の猛暑」が6.7%と続く。

引用:株式会社シンクロ・フード

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トップ3の主な回答理由は下記のとおり。

■「円安・物価高騰」と回答した理由
・値上げが仕入れ原価の高騰に追いつかない(長野県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・今年1年食材の値上がり、それに伴う自店メニュー価格の見直しに本当に悩まされた1年でした。これは来年以降も続くとの事なので、大変不安です(愛知県/カフェ/1店舗)

■「令和の米騒動」と回答した理由
・デリバリーで米を大量に使う為、かなりの大ダメージになるから。デリバリーは手数料が高い為、利益がほとんど出ない中、これ以上の仕入れ価格が上がるととてもじゃないがやっていけない(福岡県/洋食/1店舗)
・毎日大量の米を消費する業種なので比較的安定していると思っていた米がほんの数ヶ月間で2倍以上にも値上がりし、入手しづらくなった衝撃はあまりに大きかった(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

■「過去最大の最低賃金アップ」と回答した理由
・賃金が上がると言う事はあらゆる物の値段が上がると言うこと。きっちり対応していかないとと考えました。(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・食材費の値上げ、客単価の減少、客の買い控えの中、人件費の最低賃金が上がると確実に利益の減少になる。すなわち人を雇わず回していかねばならず、結果売上減少につながる負のループになっている(愛知県/カフェ/1店舗)

物価高騰により、コロナ禍以前の売上を超えた飲食店は38%

続いて、開店後6年以上の飲食店を経営している方に、「直近6年間で売上が最もよかった年は?」と質問したところ、「2019年」が38.8%で「2024年」が38.1%と僅差の結果に。2020〜2022年はどこも売上が落ち込んだことがわかるとともに、2024年は物価高騰によることも大きいが、2019年の水準まで回復しているとも考えられる。

引用:株式会社シンクロ・フード

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■「2019年」と回答した理由
・客単価の高い顧客がついており、全てが好調だったのが、2019年。コロナの過剰対策でその顧客が離れ、全てがダメになったのが現在(東京都/バー/1店舗)
・オフィス街に店があり、コロナ前の時代は宴会、飲み会の回数が多かったから(愛知県/洋食/3~5店舗)

■「2024年」と回答した理由
・決して好調というイメージはなく、物価高騰による値上げの結果、見かけの売上高が上昇した。利益は減少(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・コロナ融資の返済が出来ずに競合店が複数閉店し、当店に来客数が増えた。物価高騰で売価も少し上げたので売上高も必然的に上がった(徳島県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

東京エリアにおいて食関連で盛り上がりそうな街は「浅草・押上」

続いては、「2025年に東京エリアで『食』に関して盛り上がりそうな街は?」と質問。東京23区内で飲食店ドットコムが選出した17の街(※)の中では、「浅草・押上」が18.5%で1位となった。インバウンド需要の高さが主な理由で、「新旧混在するエリアで特に新たなトレンドが生まれそう」という意見も。

引用:株式会社シンクロ・フード

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2位は「銀座」で17.5%。1位と同様にインバウンド需要がありつつも、国内需要も見込まれるという意見や「近隣の再開発に伴う新規店舗のオープンが予想される」などの意見が見られた。

3位は「東京・日本橋」で8.1%。八重洲エリアの再開発が行われており、「どんどん新しい店が増えてきている。SNSで宣伝しているお店が多く若者の目につきやすい」「再開発が進み、人の流れが増えそうだから」といった理由が挙がっている。

※グルメ雑誌等で取り上げられることの多い東京23区の17の街を選出
東京・日本橋、銀座、神楽坂、四谷三丁目、麻布十番、青山、渋谷、恵比寿、目黒、三軒茶屋、学芸大学、代々木上原、下北沢、浅草・押上、北千住、門前仲町・清澄白河、錦糸町

2025年のトレンドは「高級食べ放題」「ワンオペ営業」

2025年に予想される外食トレンド(メニュー、業態、コンセプト等)についても質問したところ、人手不足の観点からの回答が多く見られた。主な回答は下記のとおり。

■高級食べ放題
・オールインクルーシブ (東京都/バー/1店舗)
・高級食べ放題はこれから増えて行くのではないかと思う(福井県/洋食/1店舗)

■ワンオペ営業
・ワンオペで営業する極めて小規模なお店が増えると予測する (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・多くの店が人件費の高騰などで接客の機会を減らす方向が多いので、濃厚な接客を提供できるような店 (長野県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

また、インバウンドを対象にしたメニューや、昭和リバイバル、健康志向、低価格といったトレンドを予測する回答も目立った。

■インバウンド向けメニュー
・海外の観光客向けの和食 (千葉県/和食/3~5店舗)
・インバウンドに特化した焼肉・寿司など日本の肉・魚が食べられ、高単価なお店 (東京都/和食/1店舗)

■昭和リバイバル
・100年続く様な原点回帰の居酒屋業態を新世代が運営する店 (神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・昭和世代のリバイバルメニュー。喫茶・カフェドリンクではなく、サンドイッチとかホットケーキとか?? (広島県/カフェ/6~10店舗)

■健康志向
・健康志向などは和洋に関係なく上がって来るかとは思います(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

■低価格メニュー
・リーズナブルに酒とつまみ、定食ニーズを満たす業態 (千葉県/カフェ/1店舗)
・低価格チェーンの復活 (東京都/居酒屋・ダイニングバー/31~50店舗)

メニュー考案の情報源は「飲食店巡り」と「Instagram」

最後に、メニュー考案のヒントとしてどのような情報源を活用しているかを質問した。「飲食店巡り」が49.2%で1位となり、「Instagram」が42.4%、「グルメ系雑誌・Webメディア」が42.1%と続く。同じSNSでも「TikTok」は8.4%、「X(旧Twitter)」は14.5%で、Instagramは飲食店関係者にも圧倒的に活用されていることが表れている。

2025年に食関連で盛り上がりそうなのはインバウンド需要が見込める「浅草・押上」、外食トレンドは人手不足の観点からの「高級食べ放題」「ワンオペ営業」と、2024年からの飲食店を取り巻く状況がそのまま続いていると考えられる。今回のアンケート調査を参考に、自社の運営に役立ててほしい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com