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飲食店の仕入れコストも右肩上がり。葉物野菜など高騰続き、キャベツ1玉1,000円も

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農林水産省では主な8種類の野菜の店頭価格について、全国470か所のスーパーなどで訪問調査をする「食品価格動向調査」を実施し、週ごとに結果を発表している。「野菜」の調査結果には、平年比「326%」や「218%」といった数字が並び、軒並み値上がりしていることがわかる。

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キャベツの店頭価格は平年のおよそ3.3倍に急騰

食品価格動向調査(令和7年1⽉6⽇の週:1⽉6⽇〜1⽉8日)によると、調査対象8品目(キャベツ・ねぎ・レタス・たまねぎ・トマト・にんじん・はくさい・だいこん)すべてで、平年(過去5年の平均)価格がアップした。

特に高騰しているのがキャベツで、前週比118%、平年比326%の1キロ534円だった。去年11月に最大417円まで上昇したあと一旦は値上がりが落ち着いたが、遂に500円を超えた。これは、天候不順の影響を大きく受けた2018年2月以降の最高値だ。

江藤拓農林水産相が1月10日の記者会見でキャベツ価格の急騰にふれ、「都内のスーパーでキャベツ大玉は1玉1,000円というビックリするような価格」「私が行くとんかつ屋さんはキャベツのおかわりが自由なので、多分大変だろうなと思う」と述べたことも話題になった。

その他、「レタス」前週比106%・平年比186%、「はくさい」前週比117%・平年比218%となっており、葉物野菜の高値が目立つ。

異常気象が価格高騰の原因

一般的に野菜は、11月あたりに夏の産地から秋冬の産地に切り替わる。こうした“産地リレー”があるため、価格の高騰はストップするのだ。しかし昨年は、愛知や千葉といった主要産地が夏の酷暑の影響を受けたり、秋にも天候不順が続いたことなどでキャベツの成長が遅れ、産地リレーが乱れてしまった。さらに冬場は特に需要が高まり、供給が追い付かない状況になっていることが、価格の高騰に拍車をかけている。

では、今後のキャベツの価格はどうなるのか?雨量と気候次第で生育はしていくだろうが、主要産地では寒波の影響で、病気や傷みのあるキャベツが増えることが予想される。また、大都市圏近くで雪が降ると、出荷がストップしやすいことも懸念材料だ。春の産地に切り替わる3月中旬までは、このまま高値が続くという見方が強い。

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とんかつ店やお好み焼き店に大きな打撃

野菜価格の高騰は外食産業全体の課題だが、キャベツを大量に使用するとんかつ店やお好み焼き店、ラーメン店などで負担は特に大きくなっている。年間契約などである程度価格を一定に保てている飲食企業もあるようだが、個人店や小規模店の多くは頭を抱えている。

Xでは、飲食店関係者による次のような投稿が見られた。

・キャベツの値段が高くなるだけではなく近隣で品薄になってきました(多分ですが、値段が上がって買う方が少なくなって仕入れも控えているのかと思います)キャベツが必要な飲食店には厳しい時です
・東京の方で1玉1,000円超えたとか…?飲食店をやっている身としては物価高騰しても料理の値段を上げたら客来なくなるから厳しいです…キャベツはもう野菜じゃありません!
・農家さんの言い値でお野菜を買いたい気持ちはもちろんある、でも大抵の飲食店のメニューは時価にできないから本当に厳しい

こうした声からもわかるように、値上げはさまざまな立場の人に大きな影響を及ぼす。春の産地の野菜が出回るまで一時販売中止の措置をとるなど、何らかの対策を講じる必要がありそうだ。

参考サイト:農林水産省「食品価格動向調査(野菜)」

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」