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おでん食べ放題“550円”の『呼炉凪来』。人気爆発、出店拡大の理由はコスパだけにあらず

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在籍アルバイトは約50名。店の活気と明るい雰囲気を作り出している。(写真提供:株式会社FOOLISH)

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利益は従業員に還元。明るく活気のある雰囲気をつくる

店内の明るく活気ある雰囲気から、同社の「笑顔とともに生きる」という理念が見て取れる。店舗開発ではコストを重視する一方、従業員に対して給与や報酬で、実績に見合ったリターンを支払う点も士気の高さにつながっているようだ。

「そもそも経営方針としては、利益体質で従業員に分配ができる企業でありたいと考えています。当社の給与水準は高いのですが、ただ単に最初から高い額面を提示したのではなく、実績に基づく評価として給与額を上げてきたという背景があります。会社の成長に応じて、月給を一律5万円アップしたこともありました」

業績が伸びれば、自分に還元される。だから従業員が当事者意識を持って仕事に打ち込める。シンプルではあるが実践するのはなかなか難しい仕組みである。

社員還元という意味では、福利厚生もユーモラスだ。スポーツジムの入会金をサポートする「ジム手当」をはじめ、趣味で出場する大会で3位以内に入賞したら特別報奨金が出る「No.1手当」なるものまである。

「まず自分のプライベートが充実していないと“お客さまのため”なんて考えは絶対できないんですよね。だから休みはきっちり取ってもらうし、プライベートで挑戦したいことがあれば、それを応援したいし、成果が出たらお祝いをしたい。そんな気持ちで生まれた福利厚生です」

表面だけを模倣する店には真似できない継続性

おでん食べ放題550円というキャッチーな看板商品は魅力的ではあるが、模倣されやすいというデメリットもある。実際におでん食べ放題を謳った類似店が追随し始めており、新たなブームの兆しを感じる一方で、一般化してしまう恐れもあるだろう。それに対して森さんは「一時的なトレンドで終わらず、長く愛される店を作っていきたい」と冷静に語った。

ここまでをまとめると、店舗デザイン、メニュー開発、原価調整、出店戦略、人材育成、さまざまな面からアイデアを集めて、『呼炉凪来』という話題性が高く、かつ収益が見込める魅力的な業態が生み出されたと言える。たとえワンコインおでん食べ放題ブームが到来しても、表面だけを模倣した店は長続きしないのが世の常だ。コロナの記憶が薄れたいつかの未来でも『呼炉凪来』の看板は変わらず灯り続けているだろう。

『炉端とおでん 呼炉凪来(コロナギライ)』
住所/東京都新宿区西新宿1-12-7 第二清新ビル3F
電話番号/03-5909-0399
営業時間/16:00〜翌1:00(金曜・祝前日16:00〜翌5:00)
定休日/なし
席数/140

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。