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豪徳寺の小さな居酒屋『ketoku』に常連客が集う理由。目指したのは「都合のいい店」

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「すぐでる」「つめたい」「あたたかい」など、わかりやすくジャンル分けしたメニュー表

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随所に工夫を凝らし、ワンオペ&低価格を実現

メニューは20種類程度で客単価は5,000円。料理は8割程度が1,000円以下、高いものでも2,500円と非常にリーズナブルだ。肉を捌いた際に出た端材は「大豆といろいろお肉の煮込み」(600円)をはじめ、他の料理に生かし、メニューをこまめに変えて食材をなるべく早く使い切るなど、ロスを出さないようにしている。また、「食材は自分の目で見て選びたいし、この店や自分と関わりのある人から仕入れたい」と、ほとんどを近隣の商店で購入。店同士で良い関係を築くことで地元に根づいている。

例えば「豚肩ロースのロースト、カボチャのスパイス添え」(2,000円)は、豚肉を一皿分にカットして真空パックにした状態で冷凍保存。冷凍の真空パックのまま湯に入れて加熱調理を行う。また、肉のローストにはソースを添えるのが一般的だが、提供直前に温めて仕上げを行うのは手間なので、粗くつぶしたカボチャのスパイス煮をソース兼付け合わせとしている。このように、真空調理やコンベクションオーブン、フライヤーなど、手を離していても加熱できる器具をそろえたり、営業中に切り出すものは最小限にしたりと、松岡氏が1人で店を切り盛りできるよう、さまざまな工夫を行なっている。

「豚肩ロースのロースト、カボチャのスパイス添え」(2,000円)。仕上げに振ったネパール山椒がアクセント

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手が回らない時は、アルコールの提供も店の奥にある冷蔵ケースからお客が出し、抜栓もしてもらうスタイルに。常連だけではなく、初めて来店した人も無理なく受け入れてくれるという。

アルコールも料理同様、ジャンルにこだわらずビール、サワー、ウイスキー、焼酎、日本酒など、居酒屋の定番を一通りラインナップ。『uguisu』出身とあってナチュールワインも揃えており、オープン当初は注文率が非常に高かったが、最近はそれ以外のアルコールもまんべんなく出ている。

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。