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中目黒『阿弥頭』、“映え”メニュー戦略で月商700万円。20代女子に愛される店づくりとは!?

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投稿用動画の撮影を見守る坂本さん。これまでの集客の主力はInstagramだったが、SNSに詳しい大学生スタッフが入ったのを契機にTikTokにも進出

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インフルエンサーの力も借りて集客

予約客の割合は7割で、インスタグラムを経由したホットペッパーによる予約が多い。リピーターは「3%に満たない」のが、名古屋の飲食店経営との決定的な違いだと坂本さんは語る。

「繁華街が名駅、栄、伏見の3エリアしかない名古屋は、リピーターを獲得しないと経営が厳しいです。でも東京はあまりにパイが大きいので『一見さんが一度来るだけでも店が成り立つ』と考えました」

SNSはInstagramを活用。投稿の基本フォーマットを最初にしっかり決めた後は、自分たちからの発信にそこまで気を使っていないという。その一方で、予算を割いているのがインフルエンサーマーケティング。フォロワーが多い著名なインスタグラマーに声をかけているそうだ。

「お店からの発信で閲覧者を増やすより、どなたかの投稿から飛んできて店情報にたどり着く時代です。Instagramのストーリーは、お店のアカウントがメンションされた投稿を紹介するケースがほとんどです」

冷菜、温菜、揚げもの、パスタ、ご飯もの、甘味で構成されるフードメニュー。卓上のQRコードを読み込んで注文できる

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東京進出の強みになった名古屋での実績

東京初出店で勝算があったのは、名古屋での実績もあったからだ。2022年11月、名古屋駅前にオープンした居酒屋『にもの』は、「創業50年の手作り惣菜店監修」のキャッチフレーズで瞬く間にファンを獲得。1日3回転する人気店となり、現在は4店舗にまで姉妹店を広げた。

「小皿、ドリンク、内装が噛み合い、周りにない店となりました。提供している煮物は特別なものでなく、あくまで『親しみやすいお袋の味』。この経験を通じて僕らが狙うべきだと分かったのは『もう少しだけ他よりもおいしく、ちょっとだけプラスの要素がある』というコンセプトです」

ドリンクメニュー。主役は生果実を使ったサワーとカクテルだ

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『Nakame Sakaba 阿弥頭』でも低価格を売りにすることなく、「ちょっとだけプラスの要素」で評判を勝ち取り、狙い通りの成果を収めている。

東京初進出店が成功した勢いを駆り、2024年は物件の取得が完了次第、都内3店舗の出店を目指すという。次なる狙いは、大合の祖業である「煮物」を世代問わずに楽しめる店だ。お袋の味というど真ん中の球で20代に旋風を起こせるか。期待して見守りたい。

『Nakame Sakaba 阿弥頭』
住所/東京都目黒区青葉台1-28-3 エル・アルカサル中目黒2F
電話番号/03-6303-1918
営業時間/17:00〜23:00 (フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日/無休
坪数・席数/40坪・84席(カウンター40、テーブル44)
https://amuse.owst.jp/

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神吉弘邦

ライター: 神吉弘邦

経済誌『Forbes JAPAN』、デザイン誌『AXIS』、建築誌『商店建築』、カルチャー誌『BRUTUS』などに寄稿するフリーランス編集者。コロナ禍で飲食店のありがたさに気づき、料理の奥深さにも開眼。メディア取材や企業コンサルティングのかたわら、現在「あて巻き」発祥の寿司居酒屋でも修行中。実家は仕出し屋。