渋谷の人気魚介ビストロ『PEZ』に学ぶ、アルバイトが自然と「超能動型」になる人材育成術
渋谷駅から徒歩10分ほど、ナチュラルワインとイタリア料理の店『CHOWCHOW』の姉妹店として、2021年10月にオープンした魚介ビストロの『PEZ』。同店は、毎年昨対比越えで売上を伸ばし、約19坪26席で現在客単価7,500円、坪月商56万円越え、月商約1,070万円にものぼる人気店となっている。
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現在アルバイトスタッフは計4人。そのうちの一人である20代の丹野翼さんは、2024年1月の入社から約半年後には『PEZ』でワインの仕入れを任されるほどになった。そんな丹野さんが「ワイン業界に入って、最初の上司が山田さんで本当に良かった」と慕うのが、マネージャーの山田隆未さんだ。一方の山田さんは丹野さんのことを、「本当に勉強熱心。仕事面での興味に対して能動的に動いているから、成長スピードが速い」と評価。両者の間には、年齢や立場を超えたリスペクトの関係性が垣間見える。
近年は「指示されないと動けない」受動的なスタッフに悩む飲食店経営者も多いが、『PEZ』はなぜ真逆の人材を獲得できたのか。本記事では勤務スタートから今日までの軌跡を振り返りつつ、お互いのコミュニケーションの取り方や、共に店づくりをしてきた中でのエピソード、お互いの立場から仕事にかける思いを語ってもらい、その理由を探った。
画像を見る「あそこで働きたい」。“お客”を“同士”に変えた店の力
――はじめに、丹野さんはどのようなきっかけで『PEZ』のアルバイトに応募されたのか教えてください。
丹野翼(以下、丹野):僕は料理の専門学校を卒業後、ホテルに勤務したり居酒屋の店長を務めたりと飲食業界で働いてはいたのですが、ナチュラルワインの面白さに気づいたのが去年の年末くらいで。そこからいろいろなお店を飲み歩いて出合ったのが『PEZ』でした。二子玉川にあるワインショップの『NEW VALLEY』を訪れた際に「『PEZ』の料理とワインがすごくおいしくて、あそこで働きたいんですよね」と話したところ、そこのスタッフの方が、『PEZ』の石浜シェフが修業していた『abysse(アビス)』の同期だったことがわかったんです。そのご縁で石浜シェフを紹介してもらい、石浜シェフと面接をして採用してもらいました。
画像を見る山田:石浜シェフは「まじめで素直な子だったから採用した」と言っていたよ。僕も素直な子がいいと思っていて、採用時には人間性を重視している。知識や経験は後から積み重ねていけるからね。また、僕が面接するときには入社後に齟齬がないように「厳しい職場ですよ」「教えてもらいながらお金をいただくのだから、力を発揮するつもりで来てね」と先に伝えるようにしてる。とはいえ、翼くんのことは最初「かっこいい子が来たなぁ」ぐらいにしか思っていなくて(笑)。でもいつの間にかワインも勉強し始めたことを知って「真摯に仕事に向き合う人」へと印象が変わったんだよね。