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2024年度「アジアのベスト50レストラン」。開催地ソウルから“美食の祭典”をレポート!

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次世代のスターシェフを育成する「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」

授賞式前日、冠スポンサーとして「50ベスト」をサポートするイタリアのナチュラル・ミネラル・ウォーター・ブランド「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」を有するサンペレグリノ社が、メディアを対象にランチとトークセッションを開催した。

サンペレグリノ社は、サステナブルなレストラン業界の発展を目指して、トップシェフと若い料理人が交流することで、さらなるクリエイティビティの追究とボーダーレスなコミュニティづくりを目的とする国際料理コンクール「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」を主催している。

この日はビッグスターから若手まで、「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」と関わりの深い7名の料理人がコラボするかたちで料理を振る舞い、トークセッションに臨んだ。

右からソンさん、『Nae:Um』(73位)のLouis Han(ルイス・ハン)さん、『Odette』(10位)のJulien Royer(ジュリアン・ロワイエ)さん、ケヴィンさん、2022-23年「サンペレグリノヤングシェフアカデミー」アジア地区決勝大会優勝、世界決勝大会トップ3に入賞した『Inicio』のIan Goh(イアン・ゴー)さんほか(写真提供:SPYCA)

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ジュリアンさん、ソンさん、イ・ジウさん、キム・ヒョジョンさんがコラボしたチェジュ産アワビのユッケジャン風スープ仕立てとビビンパ(写真提供:SPYCA)

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「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」の最大の特徴は、「メンターシェフ」と呼ばれるトップシェフから直接指導育成を受けることで、ネットワークが飛躍的に広がり、活躍の場が世界へと拡大されることだ。

日本では実感を得にくいが、ガストロノミーが発展途上の国では、ファインダイニングの数もあまり多くなく、スターシェフと直接言葉を交わせる機会は少ない。「ミシュランガイド」が上陸していない国も多く「50ベスト」を世界への足がかりと捉える料理人もいる。そんな彼らにとって、「ミシュランガイド」と「アジア50」の双方で高い評価を受けるメンターシェフは雲の上のような存在だ。なかでもミシュラン三つ星で「アジア50」10位のジュリアンさんには、多くの質問が寄せられた。

ジュリアンさんは、人柄を感じさせる温かい言葉を慎重に選びながら、繰り返しこう伝えた。国境を超えたメンターシェフとの繋がりは、コンクール終了後も師弟関係として長く続くこと。コンクールは結果だけに左右されるものではなく、よい結果を目指して研鑽を積むその過程が重要なこと。同世代の料理人同士が同じ目標に向かって切磋琢磨する経験は、その時点ではライバルでも明日の友となり、料理人人生において大切なコミュニティになること。

「結果に一喜一憂するのではなく、料理人としての人生をより豊かにするためにコンクールを活用してください」(ジュリアンさん)

ひとつひとつの質問に誠実に答えるジュリアンさん

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「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー」によると、30歳未満であれば国籍や性別を問わず広く応募を受け付けている。日本からは現『middle』(京都)の藤尾康浩さんが2018年の国際大会で優勝しているが、全体数から見ると応募者の割合は少ないそうだ。今年の応募受付は2024年6月19日まで。世界へのステップを探している人は挑戦してみてはいかがだろうか。

「50ベストにはなぜ有名シェフなどたくさんの人が集まるのですか?」

実は冒頭に書いた筆者のもとに届くそんな問いも、若い人たちから寄せられることが多い。このレポートが少しでも現地の空気感をお伝えできたなら、そして今これを読んでいる若手料理人の誰かが、いつか赤いスカーフを身につけて壇上に立つ姿を見られるなら、書き手としてこれほど嬉しいことはない。

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shifumy 詩文

ライター: shifumy 詩文

旅するフードライター&インタビュアー。“ガストロノミーツーリズム”をテーマに世界各地を取材して各種メディアで執筆。世界の料理学会取材や著名なシェフをはじめ各国でのインタビュー多数。訪れた国は80か国以上。著書に『ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~』シリーズ3巻(小学館)。