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2024年度「アジアのベスト50レストラン」。開催地ソウルから“美食の祭典”をレポート!

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セッションならではのグルーヴ感のある料理を披露

一方、シェフたちの関心を集めたのが、同じく公式セッションとして開かれた「Alla Prima(91位)×cenci(47位)×L’Espoire du Hibou」だ。

『cenci』の坂本健さん(中央)。『Alla Prima』のKim Jin-hyuk(キム・ジンヒョク)さん(左)、『LʼEspoire du Hibou』のLim Ki-hak(リン・キハク)さん(右)と

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「イタリアンとフレンチの技術の出合い」をテーマにメニューづくりに取り組み、仕込みにも時間をかけて丁寧に仕上げた

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ゲストのひとりとして料理を楽しんだアジアを代表するスターシェフ、『Nusara』(6位)『Le Du』(12位)のThiTid “Ton" Tassanakajohn(愛称トン)さんは「高い実力と豊富な経験を持つシェフたちのコラボなので楽しみにしていました。日本と韓国のフレーバーが効果的に使われているのもユニークでした」と語った。

そのほか、筆者自身は追いきれなかったが日本勢が活躍した公式セッションは「La Yeon×NARISAWA(14位)」、非公式としては「L’Amant Secret×Estro(71位)×Crony(58位)」も開かれた。また、2023年のシンガポールに続き独自イベントを開催した『Gucci Osteria』は、フィレンツェ、東京、ソウルのシェフの競演でゲストを魅了した。

『Gucci Osteria Tokyo』のAntonio Iacoviello(アントニオ・イアコヴィエッロ)さん(左から2人目)。フィレンツェのKarime Lopez(カリメ・ロペス)さん(右)、紺藤敬彦さん(右から2人目)、ソウルのJun Hyungkyu(ジュン・ヒョンギュ)さん(左)と(写真提供:Akamatsu Kimiko)

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日本勢以外では、特に次の二つの公式セッションを紹介したい。一つめは「Onjium(21位)×The Chairman(4位)×Seroja(31位/最上位の新規入賞レストラン賞)」。

右から『Onjium』のPark Sung-bae(パク・ソンベ)さんとCho Eun-hee(チョ・ウンヒ)さん、『The Chairman』のDanny Yip(ダニー・イップ/アイコン賞)さん、『Seroja』のKevin Wong(ケヴィン・ウォン)さん

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「アイコン賞」を受賞したダニーさんは、自店のある香港だけでなくアジア各国のシェフや業界関係者を広く繋げることで、アジア全体のガストロノミーの存在価値を高め、サステナブルに発展させることに力を尽くしている。若い世代へのサポートも温かく、その人柄と功績が相まってアジア全域のシェフやメディアから抜群の人気と信頼を得ている。筆者がアジアで最も敬愛する一人だ。

食の分野にとどまらず建築や服飾など韓国の文化と歴史を総合的に研究する『Onjium』、広東料理の本質を極めた『The Chairman』、マレー半島の伝統的な食文化を追究する『Seroja』のセッションは、ローカル性とグローバル性を考える示唆に富んだものだった。

そして二つめは「Soigne×Le Du×Wing(5位/ハイエスト・クライマー賞)×Kwonsooksoo(89位)」。

右からトンさん、『Kwonsooksoo』のKwon Woo-joong(クォン・ウジュン)さん、『Soigne』のLee Jun(リ・ジュン)さん、『Wing』のVicky Cheng(ヴィッキー・チェン)さん (写真提供:Julia Lee)

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世界の最先端で勢いに乗るシェフたちが、セッションならではのグルーヴ感で今っぽい刺激的な料理をつくりあげていく。「アジア50」らしさを最も強く感じた。

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shifumy 詩文

ライター: shifumy 詩文

旅するフードライター&インタビュアー。“ガストロノミーツーリズム”をテーマに世界各地を取材して各種メディアで執筆。世界の料理学会取材や著名なシェフをはじめ各国でのインタビュー多数。訪れた国は80か国以上。著書に『ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~』シリーズ3巻(小学館)。