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2024年度「アジアのベスト50レストラン」。開催地ソウルから“美食の祭典”をレポート!

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日本勢の活躍が伝えた“食の日韓関係”の親密さ

公式に発表される前からフーディーズの間で噂が駆け巡り、限定シートを巡って争奪戦が起きるなど、ホットなトピックスとなったのがコラボレーションの数々だ。ソウル市内のトップレストランが各国のセレブリティシェフを迎えて開催した公式ダイニングイベント「50 Best シグネチャー・セッション」をはじめ、非公式も含めて“今回限り”のコラボレーションが多数開催された。

ホスト側の韓国のシェフを除くと、最も数多く出演したのが日本のシェフたち。日韓間は距離が近く互いに行き来しやすいこともあり、かねて日韓のシェフたちは親交を深めてきた。韓国のシェフは大多数が英語を話すし、日本語を使いこなす人も多いので言語の壁もない。

なかでもメディアが注目したのは公式セッションとして開かれた「天地門×Mume×傳(8位)」だ。

『傳』の長谷川在佑さん(左)、『天地門』のKim Dae-chun(キム・デチュン)さん(前列)、Han Bumhee(ハン・ブンヒ)さん(後列中央)、『Mume』のRichie Lim(リッチー・リン)さん(右)

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タラの芽、行者ニンニク、菜の花など春らしい素材が満載。「韓国とは共通点も多いですが、似ている中にも日本のものとは風味が違って興味深い」と長谷川さん

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日本のシェフとも親交のある香港のジャーナリストVanessa yeung (ヴァネッサ・ヤン)さんは「長谷川さんは、現在のアジアにおける日本料理の人気確立に最も貢献した料理人のひとりです。次世代の育成にも積極的。韓国のハンさんが日本料理でアジアの舞台に立てるように、国境を越えてサポートしているのも長谷川さんらしい」と言う。

ヨーロッパ各国のジャーナリストは大半が初めての渡韓。「ヨーロッパとはまったく違う食文化を持つ東アジア、日本・韓国・台湾の食を俯瞰して体験する貴重な経験でした」と語った。

同日同時刻には、別の公式イベント「7th Door×JL Studio(33位)×La Cime(9位)」が開催された。会場となった『天地門』と『7th Door』は同じビルの同じフロアにあるため、スターシェフたちが双方を行き来して顔を見せファンサービスに努める場面も(トップ画像)。両会場のデザートは『あずきとこおり』の堀尾美穂さんが腕を振るった。

『La Cime』の高田裕介さん(中央)。普段はシャイでもの静かな職人気質の料理人だが、彼の渡韓を待ちわびていたファンの熱狂ぶりに笑顔で記念撮影などに応じた。『JL Studio』のJimmy Lim(ジミー・リム)さん(左)、『7th Door』のKim Dae-chun(キム・デチュン)さん(右)

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フレンチの技術で再構築したアートのようなかき氷で有名な『あずきとこおり』の堀尾美穂さん

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同じく同日同時刻には、日韓の華やかなスターが勢揃いした「Eatanic Garden(62位)×Florilege(2位)×Solbam(65位)」も公式セッションとして行われた。

『Florilege』の川手寛康さん(右)。韓流スター並みに人気の『Eatanic Garden』のSon Jong-won(ソン・ジョンウォン)さん(中央)、『Solbam』のEom Tae-jun(オム・テジュン)さん(左)と

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ソンさんとオムさんの「憧れの川手さんの調理を間近で見られたことは料理人として大きな経験になった」という言葉を受けた川手さんは「ふたりとも料理に真摯に向き合っていて技術も非常に優れています。これからの韓国のガストロノミーをリードしていくシェフたちです」と話した。

ソンさんもオムさんも「来年の50入りは確実」と早くも下馬評が飛び交っている今年の注目シェフ。美しく洗練された料理に本人の整ったビジュアル…と、スター性は十分。これからの躍進が楽しみだ。

【注目記事】『フロリレージュ』川手寛康シェフが語る「東京で一番のレストランになるより大切なこと」

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shifumy 詩文

ライター: shifumy 詩文

旅するフードライター&インタビュアー。“ガストロノミーツーリズム”をテーマに世界各地を取材して各種メディアで執筆。世界の料理学会取材や著名なシェフをはじめ各国でのインタビュー多数。訪れた国は80か国以上。著書に『ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~』シリーズ3巻(小学館)。