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2024年度「アジアのベスト50レストラン」。開催地ソウルから“美食の祭典”をレポート!

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『7th Door』(18位)と『天地門』で開催された「50 Best シグネチャー・セッション」のワンシーン

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先ごろ発表された「Asia’s 50 Best Restaurants 2024」(以下「アジア50」)。ランキングの発表自体はライブ配信されるため、なぜ各国から飲食業界関係者や有力メディアがこれほど集まるのか問われることも多い。その理由は関連イベントの独自性にある。

今回は韓国が初めてホスト国となり、授賞式と多数の関連イベントがソウル市内各所で開催された。公式イベントが実施されたのは2024年3月23日〜27日の5日間。前後して非公式のものも含めると数え切れないほどのイベントやワークショップ、パーティーが行われ、またあえて同時多発的に設定されたこともあり、すべてを網羅するのは不可能だった。

ここでは筆者が実際に見聞きしたものを中心に、韓国農業食料農村省(MAFRA)とソウル市が演出したアジア最大級の“美食の祭典”の一端をレポートする。

【関連記事】2024年版「アジアのベストレストラン50」発表(2024年度の1〜50位リストを公開中)

フォーラムではアジアを代表するシェフたちが次々と登壇

まずは、毎年恒例となっている公式イベントから。最も注目度が高いのは、飲食業界の未来を先取りするようなオピニオンリーダーが登壇するフォーラム「#50BestTalks」だ。「アジア50」の母体である「The World’s 50 Best Restaurants」(以下「世界50」)でも同名で開催されている。

右から台北『Mume』(34位)、ホーチミン『Anan Saigon』(48位)、シンガポール『Lolla』(43位)、ムンバイ『Ekaa』(98位/シェフ)、韓国食文化研究家、『Ekaa』(バー テンダー)、とんでもなく洗練された冷麺のテイスティングで会場をざわつかせたソウル『Yun』(写真提供:The Worldʼs 50 Best Restaurants)

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毎回テーマが設定され、今年のテーマは「Food of the People」。それぞれが自分のルーツである気候風土・伝統文化風習に立ち返り、深く掘り下げ、それを“ガストロノミー”という世界共通語に昇華し共有する。

今回はインドやベトナム、フィリピン(『Lolla』のジョアン・シイさんはシンガポールに店を構えるフィリピン人で今回はフィリピンの食文化を紹介)といった、近ごろ存在感を増している美食界の“新勢力”が多く参加しており、時代が反映されたフォーラムとなった。

彼らが語った、アジアで広く共有する食文化の背景は「発酵」。発酵から生まれる「ウマミ」はアレンジされて西洋を含め世界的に広まり、今では「コク」という次なる新しい味覚の概念に注目しているシェフもいる。このテーマで日本の料理人が登壇しなかったのは少々残念だった。

手前から時計回りに、台湾の納豆、フィリピンの朝食の定番「ロンガニーサ(ソーセー ジ)」とココナッツビネガー、ベトナムのニョクマム(魚醤)のテイスティングプレート

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「#50BestTalks」の前には、シェフや飲食店関係者が少数のメディアと共にテーブルを囲み、フランクに意見を交換する「Meet The Chefs」が行われた。こちらも韓国、シンガポールのほかインド・チェンナイ、インドネシア・ジャカルタと多国籍なキャスティングに「アジア50」らしさが表れていた。

チェンナイのモダン・インディアン・キュイジーヌ『Avartana』(44位)のNikhil Nagpal(ニキル・ナグパル)さん(写真提供:The Worldʼs 50 Best Restaurants)

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そのほか、参加シェフたちが最も楽しみにしているシェフたちの交流パーティー「Chefs’ Feast」では、スポンサー企業の韓国料理やビバレッジがふんだんに振る舞われ大いに盛り上がった。

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shifumy 詩文

ライター: shifumy 詩文

旅するフードライター&インタビュアー。“ガストロノミーツーリズム”をテーマに世界各地を取材して各種メディアで執筆。世界の料理学会取材や著名なシェフをはじめ各国でのインタビュー多数。訪れた国は80か国以上。著書に『ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~』シリーズ3巻(小学館)。